旧農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務していた男性=当時(38)=が自殺したのは、過重労働によるうつ病が原因として、大阪府吹田市の妻(43)らが約1億8,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は6日、「うつ病となった原因は業務にある」と判断し、公庫に約8,900万円の支払いを命じた。

判決理由で稲葉重子裁判長は「公庫は男性が相当な残業をしても業務が遅れがちだったのを認識していたのに、健康状態が悪化しないよう適切な措置を取らなかった」と指摘した。

判決によると、男性は2005年4月、高松から長崎支店に転勤。転勤直前は残業時間が月100時間近くになり、疲労を解消しないまま長崎で業務を始めた。同年5月下旬までにうつ病を発症し、7月に自殺した。高松労働基準監督署は労災認定した。

判決は、男性についても、健康上の問題を公庫に相談しなかった点を過失として、賠償額を減額した。

判決後に記者会見した妻は「夫の生きざまを裁判で証明できて良かった」と話した。公庫は「判決内容を確認し、今後の対応を考えたい」としている。

(共同通信)